東京高等裁判所 昭和48年(ラ)776号 決定
抗告人が被抗告人を告訴したのは被抗告人によって他人名義に仮登記された土地がさらに本登記されることを防ぐため警察当局の手を借りようと考えてしたまでのことであって、告訴状には取調べの上厳重処分されたい旨記載されているが、この告訴によって被抗告人に刑罰が科せられることまでは望んでいなかったことが認められ、この事実と前示認定の事実とを総合して考えれば、抗告人が被抗告人を告訴するに及んだことは、たしかに、親である同人に対し侮辱を加えたものといわなければならないが、抗告人をしてこのような挙に出なければならないようにした原因が前示認定のごとく被抗告人の側にあったことが認められる本件にあって、しかも一時的な所業と認められる右告訴をもってしては、いまだ抗告人が民法第八九二条に定める程度に重大な侮辱を被抗告人に加えたものということはできず、その他同条所定の廃除の事由に該当する非行が抗告人にあったと認めるに足りる証拠はない。
(久利 安倍 舘)